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この街で暮らす日々。

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【創作】タイトルは決まっておりません

05月16日(月)01時58分
寝転がったまま、力任せに、何度も床を叩いた。
殴られた鼻がいつまでも痛くて、じんじんと響く度に、また悔しかった。

窓の外にちらりと舞ったものが、徐々に増えて視界を埋める。
こうしている間にも、雪は刻一刻とこの地を侵してゆくというのに。

「荒れてるね」

戸口から彼女の声がした。
抑揚の少ない、さしたる感情を表さないその声が耳朶に触れる。
ただそれだけでじんわりと目頭が熱くなる自分が余りにも情けなくて、腕で顔を覆った。

「何、泣いてんの」

丁寧に、腕が除けられる。

「先刻まで、あんなに暴れてた癖に」
「それとこれとは」

華奢な手でやんわりと腕を掴んだまま、彼女は俺を見据えた。動きに乏しく、でも深く吸い込むような、黒い大きな双眸。

「願は願の思うようにするべき」
「でも」
「私がいる」

がばり、と跳ね起きた俺の手を、彼女がぱらっと放す。目線だけがくりっと動いて合わされた。

二人で。何が出来る。

脳味噌を五秒きっかり総動員して、俺は口を開いた。

「戦う」
「どうやって」
「これで」

がっ、と手元にギターを引き寄せる。ネックを握って乱暴に立てると、振動でばいん、と音が鳴った。
弾けた弦の一本一本を辿るようにして、彼女の視点が戻る。
焦点が結び合った瞬間、口の端だけをほんの少し持ち上げて笑った。

微かな、けれど、澄んで透って揺るぎない、彼女特有の笑みだった。

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秋成きよる

Author:秋成きよる
杜の都の駄目オトナ。
土木関係の会社で設計部署の下っ端をしつつ、
某携帯コンテンツのライターをしています。
ベルギービールが大好きで、
焼酎の味は未だ解りません。

一応本館(携帯サイト・PC閲覧できます)
<センダード戯人街>
写メ日記(気まぐれに更新)
<杜色雑記帳>




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